男性の場合は、サクラに騙されるパターンが「すぐ会える」や「肉体関係」、「愛人契約」というように、主なものだけでもいくつかのパターンがありますが、女性の場合は、それが極端なのが特徴です。

女性が出会い系サイトでサクラに騙されるパターンの中でダントツで多い理由が、「金銭的な報酬に釣られて」というものです。それも男性の場合のように、必ずしも愛人など肉体関係を前提としないものが非常に多くあります。

その一つが、資産家や投資家を騙る出会い系のサクラメールです。“自分には使い切れないほどの金銭的な余裕があり、それを人助けのために使いたい、援助したい”というような内容でメールをしてくるというものです。男性の場合と違って、女性が対価として何かを差し出す必要がないというのが特徴で、ただ単にメールを数回したり話を聞くだけで大金がもらえるというものが一般的な手口です。

この一見、あまりにもあり得なさそうな話でもメールを受け取った女性が冒す必要のあるリスクは身体的にも心理的にもないため、それなら数回のメールぐらい、ということでポイントを購入して返信を重ねていってしまう女性が非常に多くいます。その結果はもちろん延々とメールを引き延ばされてポイント購入を重ねることになるということですが、それだけにとどまらず更に悲惨な状況に陥る女性も多いのが実情です。

その更に悲惨な状況とは、最後にあるであろう大金の受取の可能性を最後まで捨てきれないパターンで、その大金の受取に必要な高額なポイント購入を迫られるというものです。最終的には通算のポイント購入額が数十万～数百万にまで及ぶという結果に至るケースもあります。

こうした、被害で見えてくるのは、単に女性が金銭に釣られやすいということだけではありません。むしろ問題となるのは、女性の出会い系を使う上での姿勢や巡り合う男性に対する期待値にあります。女性は誰しも、自分にはいつか素敵な“白馬の王子様”が表れて幸運にあずかることができる、という理想を心のどこかに持っていることが被害に遭う危険性を高め、また被害を甚大なものにしている大きな理由です。

これは、イケメンを装うサクラに女性が騙されやすいということにも共通する問題です。しかし、当然ながらそうした“白馬の王子様”は出会い系サイトを使うことはまずありませんので結果としてサクラに騙されてしまうということになります。

可能性を捨てきれないという意味では、男性がサクラに騙される理由とも共通する部分がありますが、女性の場合はいつのまにか自分が搾取されている、ということに気づきにくく、「騙された自分や状況」を否定する傾向にあるのが大きな違いです。